絵様えよう)” の例文
旧字:繪樣
姫の俤びとに貸す為の衣に描いた絵様えようは、そのまま曼陀羅まんだらすがたを具えて居たにしても、姫はその中に、唯一人の色身の幻を描いたに過ぎなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
姫のおもかげびとに貸すための衣に描いた絵様えようは、そのまま曼陀羅のすがたを具えていたにしても、姫はその中に、唯一人の色身しきしんの幻を描いたに過ぎなかった。
そこで始めて心付いたことは、古来東方の故郷の国において、人が深くも考えずに粉本ふんぽんを伝えていた、絵様えようというものにも基づく所があるということであった。
これを絵様えようってもまた場面と呼んでも、実は幾分か目の感覚に傾きすぎる非難がある。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
光あるコバルト色の羽をした、首ばかりのような形の鳥が、丹色にいろの小魚を長い嘴のさきについばんで、水の上を飛び渡るというような絵様えようは、いまだかつて人の空想にも浮ばなかったと思う。
エピソードにはいろいろの美しき絵様えようあり。おりあらば詳しく書き記すべし。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
附句つけくを案ずる人たちは、通例はまず絵様えようを胸に画くべしと教えられていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)