紬縞つむぎじま)” の例文
おすえは紬縞つむぎじまの着物に厚板の帯、足袋もはかないふだん同様の着つけだし、栄二も木綿縞の着物に三尺帯という恰好だった。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
何や清藏、あのお若を屋敷奉公させてうちへ帰らば、やあらけえ物も着られめえと思って、紬縞つむぎじま手織ておりがえらく出来ている、あんな物が家に残ってるとあとで見てきもれてくねえから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
悪いことは重なるもので、私の仕入れた反物にきず物が三反もありました、伊勢崎の安い紬縞つむぎじまで、一反は女物でしたが、染めむらと尺たらずです
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それから金も沢山呉れえが、こゝに金が七両あるだ、是ア少し訳があっておら手許てもとにあるだから是を汝がにくればい、此の紬縞つむぎじまあんまり良くなえが丹精してよりをかけて織らした紬縞で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
年はどちらも三十四五であろう、二人とも黒っぽい紬縞つむぎじま素袷すあわせを着、痩せた男のほうは唐桟縞とうざんじま半纒はんてんをはおっていた。
ひとでなし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
紬縞つむぎじまらしいさっぱりした着物に、角帯をしめ、秩父ちちぶ物の焦茶色に荒い縞のはいった、袖なしの半纏をひっかけていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
せて、小柄こがらで、背丈は五尺そこそこだろうか。紬縞つむぎじまらしいさっぱりした着物に、角帯をしめ、秩父ちちぶ物の焦茶こげちゃ色に荒い縞のはいった、そでなしの半纏はんてんをひっかけていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
こりこりするような紬縞つむぎじまで、母は針を動かしながら「参吉さんにぴったりの柄じゃないか」と云っていた。繁次は木綿のほかに着たことはないが、参吉は渋い絹物を好んで作った。
落葉の隣り (新字新仮名) / 山本周五郎(著)