素頭すこうべ)” の例文
あの洒落しゃれものの坊さんが、頭を天日にさらしたというのを思出す……「意気な人だ。」とうっかり、あみ棚に預けた夏帽子の下で素頭すこうべたたくと、小県はひとりでうっかり笑った。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、頼朝は初めて口を開き、髯切の太刀の抜きざまに、無我無心、源内兵衛の素頭すこうべを払った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うかゞう傳助の素頭すこうべを、すぽんと抜打ぬきうちにしましたが、傳助はい面の皮。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「身軽がいいぞ。よけいな物は、一切具足ぐそくから取り捨てろ。かぶとも用いず、素頭すこうべ鉢金はちがねだけを当て、草鞋わらじの緒はきつく締めるな。絶壁をじ、乱岩の山上で働くには、緒が切れやすい」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いでその素頭すこうべを刎ねて、ちまたけ、洛陽の民の祭に供せん
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)