紛糾ふんきう)” の例文
人生のいかに紛糾ふんきうせるにもかゝはらず、金星は飛んで地球の上に堕ちざるなり、彗星は駆けつて太陽の光りを争はざるなり。
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
事情が紛糾ふんきうして分らないから、官使純行等三人は其時東国へ下向したのである。将門は弁解した、上京はしなかつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
期待きたいしてあるものにはかうばられたやう絶望ぜつばうとが混淆こんかう紛糾ふんきうした自暴自棄やけ態度たいどもつておつぎをめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一側面なほかつ単純ならず、去れども写してしんに入るときは、事物の紛糾ふんきう乱雑なるものを綜合して一の哲理を数ふるに足る、われ「エリオツト」の小説を読んで天性の悪人なき事を知りぬ
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
良正の家がことに将門をにくんで之を攻撃してゐるところを見ると、何でも源護の家を中心とし、之に関聯して紛糾ふんきうした事情が有つての大火事と考へられる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)