納戸役なんどやく)” の例文
肩から胸まで切り下げられ、そのままおくなりなされたし、一昨々日さきおととい些細ささいとがで、お納戸役なんどやくの金吾様が命をお取られなされました
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
初めは十五のとしだったろう、火事のあるまえ、小野の家が御蔵の辻にあったころ、同じ小屋敷の中に北園勝兵衛という納戸役なんどやくがおり、そこに菊乃きくのという娘がいた。
饒舌りすぎる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
酒やのかかりに朱富しゅふ。それと縁のある宴会の主事は宋清そうせい什器じゅうき、つまり納戸役なんどやく白勝はくしょう杜興とこうのふたりだ。いやそのほかにまだ対岸には四ヵ所の見張り茶店がある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外村惣江とのむらそうえと申すお附頭つきがしら納戸役なんどやく川添富彌かわぞいとみや山田金吾やまだきんごという者、其のほか御小姓が二人居ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
次に寛政三年六月四日に、寄合よりあい戸田政五郎とだまさごろう家来納戸役なんどやく金七両十二人扶持川崎丈助かわさきじょうすけむすめを迎えたが、これは四年二月にいつというむすめを生んで、逸が三歳で夭折ようせつした翌年、七年二月十九日に離別せられた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)