精根しょうこん)” の例文
「重大な御命ぎょめい、私ごときを、格別な御抜擢ごばってきかと、畏れながら存じあげます。粉骨砕身ふんこつさいしん、ただ秀吉の駑才どさい精根しょうこんを傾けてこれにあたり、以て、おこたえ申しあげるしかございませぬ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猛獣や毒蛇どくじゃおびやかされることもあった。夜は洞穴ほらあな寂寞せきばくとして眠った。彼と同じような心願しんがんを持って白竜山へ来た行者の中には、麓をさまようているうちに精根しょうこんが尽きて倒れる者もあった。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
奇妙ないくとき! 奇妙に精根しょうこんを疲らせる辛労しんろう! 精神と肉体のふしぎに生産的なまじわり! 原稿をきちんとしまって、なぎさから立ちかけたとき、アッシェンバッハは疲れきったような、いや
「ほれ、——諸国、旅をして存じております。砂浜から、ひょっこりひょっこりと出る芋づるの奴より、この……山の松露が、それこそ真にこうばしい露の凝ったので、いわば松の樹の精根しょうこんでがしてな。」