米松べいまつ)” の例文
昔風の鉄鋲てつびょうを打ち並べた堂々たるひのき造りの南堂家の正門内には、粗末な米松べいまつの貸家がゴチャゴチャと立ち並んでいて
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
悉皆米松べいまつで長く柱にりかゝっていると洋服にやにのつくことは言わなかった。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私は死人の方へ向いて一礼し、室を出ようとしました時、米松べいまつの粗末なベッドの脚のかげに小さい白いものが落ちているのをチラと見ました。急いで拾上げて見ますと、象牙細工の人形です。
耳香水 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
そこで最初ノッケから手を附けた四十尺ばかりの美事な米松べいまつ棟木むなぎをコツンコツンとこなして行くうちに四十尺ブッ通しのつながった削屑アラをブッ放しちゃったんで
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
新着のビック特製二トンづみダブルタイヤで、横浜市外の渋戸しぶと材木倉庫から米松べいまつを運搬すべく、交通の少い夜半に同国道を往復していたもので、損害といってはヘッド・ライトと機械を打壊うちこわ
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)