簡素かんそ)” の例文
さなきだに寒い鳥の子の白襖しろぶすま小堀遠州風こぼりえんしゅうふう簡素かんそな床壁と、小机と、そして一輪の山茶花さざんかを投げ入れた蕎麦そばの壺と。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
階下の六じょう二間を先生の書斎と茶の間兼食堂に、二階の四畳半を次郎の部屋にあて、夫人の手で簡素かんそながらも一通りの装飾そうしょくまで終わったころになって、先生は、ある夕方
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かうしたもので占められた、この簡素かんそな臺所は、何といふ不思議な場所であらう! 彼等はどうした人々であらうか? 二人の女は卓子テエブルにゐる老女の娘達であらう筈がない。
と善良な夫は反問の言外に明らかにそんなことはせずとよいと否定ひていしてしまった。是非ぜひも無い、簡素かんそ晩食ばんしょく平常いつもの通りにまされたが、主人の様子は平常いつもの通りでは無かった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
翌々晩の、俊亮とお芳との結婚式は、極めて簡素かんそだった。お芳は式服も着ず、紋のついた羽織をひっかけて、正木夫婦と青木医師——竜一の父——とに伴われてやって来た。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
『京では、だいぶ豪奢ごうしゃに承わっていたが、これは又、簡素かんそ……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)