築垣ついがき)” の例文
此春より來慣れたる道なればにや、思はぬ方に迷ひ來しものかなと、無情つれなかりし人に通ひたる昔忍ばれて、築垣ついがきもとに我知らずたゝずみける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
燒け殘りたる築垣ついがきの蔭より、屋方やかたの跡をながむれば、朱塗しゆぬり中門ちゆうもんのみ半殘なかばのこりて、かどもる人もなし。嗚呼あゝ被官ひくわん郎黨らうたう日頃ひごろちように誇り恩をほしいまゝにせる者、そも幾百千人の多きぞや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
立上りつゝ築垣ついがき那方あなたを見やれば、琴のかすかに聞ゆ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)