たかんな)” の例文
昔と語りづるほどでもない、殺されためかけ怨恨うらみで、血の流れた床下の土から青々とした竹が生える。たかんなの(力に非ず。)すごさを何にたとうべき。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鼻は長蛇ちょうだのごとくきばたかんなに似たり。牛魔王堪えかねて本相をあらわし、たちまち一匹の大白牛はくぎゅうたり。頭は高峯こうほうのごとく眼は電光のごとく双角は両座の鉄塔に似たり。
わびしかるべきくくだちのひたしもの、わけぎのぬたも蒔絵の中。惣菜そうざいもののしじみさえ、雛の御前おまえ罷出まかんづれば、黒小袖くろこそで浅葱あさぎえり。海のもの、山のもの。たかんなはだも美少年。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)