符号ふごう)” の例文
旧字:符號
すると三行目から四行目にうつるところで、マイナスとあるべき符号ふごうが、プラスになっているのを発見したのである。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「ああ、ちょっと聞き給え、変な電波が聴えるぜ。我が火星にはこんな符号ふごうを打つ局はないはずだ、ハテナ?」
科学が臍を曲げた話 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
両河地方メソポタミヤでは埃及エジプトと違って紙草パピルスを産しない。人々は、粘土ねんどの板に硬筆こうひつをもって複雑な楔形くさびがた符号ふごうりつけておった。書物はかわらであり、図書館は瀬戸物屋せとものやの倉庫に似ていた。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
右のうちで、筆者が圏点を付した部分は、柴田の性行に、あまりにもよく符号ふごうしているではないか。安田は、柴田に対してずっと以前から殺意を抱いていたものに相違ない。
誰が何故彼を殺したか (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
渡瀬はできるだけ解りやすくと、噛みくだくようにものをいっていたが符号ふごうや数字が眼の前に数限りなくならんでいるのを辿たどっていくと、新井田氏の存在などはだんだん薄ぼやけてきた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
帆村は調餌室の内部にも多分の疑問符号ふごうが秘められていることも考えないわけにはゆかなかった。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
トニーは、耳にきこえるモールス符号ふごうを、すらすらと書きとっていましたが、そのうちに、彼も電鍵でんけんを指さきで、こつこつと、おして、なにごとかを無線電信で打ちました。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あれはモールス符号ふごうだよ。国際通信の符号によって、あの音をとくと、『ここを、すぐあけろ。あけないと、外から焼き切るぞ』といっているのだ。焼き切られては困るぞ」
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だが吾輩わがはいの説によると、まず大丈夫と思う。第一に、地球へ他の遊星から来る電磁波でんじはを、十年この方、世界の学者が研究しているが、その中には符号ふごうらしいものが一つも発見せられない。
遊星植民説 (新字新仮名) / 海野十三(著)