竹行李たけごうり)” の例文
竹行李たけごうりを引出して、ポンとふたを払うと、中には思いの外の贅沢ぜいたくな着物。下女や端女はしための持物らしくないのが、幾枚も出て来るのです。
じょうはんと六帖の、裏長屋のその住居には、火のない長火鉢と小さな茶箪笥ちゃだんす、そして竹行李たけごうりが一つしかなかった。
へちまの木 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ついに覚悟かくごをして、あとは母親の熱意ねついで、小さな竹行李たけごうりと、風呂敷一つに衣類や毛布を包み込んだ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
いわゆる「水篶竹みすずだけ」で、それで作ったものを土地では「水篶細工みすずざいく」と呼びます。沢山売る「竹行李たけごうり」は別に珍らしくはありませんが、たいら網代編あじろあみにした敷物や炉縁ろべりは他の地方にないものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
老番頭の太兵衛たへえもどうすることも出来ません。不承不承ふしょうぶしょう下男に言い付けて、奉公人の部屋から、古い竹行李たけごうりを一つ持って来させました。
竹行李たけごうり(台北市内所見)
台湾の民芸について (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
布団一と揃、竹行李たけごうりが一つ、外に何にもありません——。竹行李の中にも、お勘坊相応の着物があるだけ。
男達三四人はそこに雑魚寝ざこねをする様子で、まだ床も敷きっ放しですが、何の変ったところもなく、倉松の荷物という、小さい竹行李たけごうりを、引くり返して調べたところでも
三尺の押入を開けると、上は夜の物、下は竹行李たけごうりが一つ、ふたをあけると、中から着替えが二三枚と、新しい手拭と三尺と、塵紙が少々、それに小銭の少し入った財布と、紙の包みが一つあります。