はら)” の例文
陰陽道は歴緯にのっとり神鬼を駆ると称して、世俗の為に吉を致し凶をはらうものである。儒より云えば巫覡ふげきの道、仏より云えば旃陀羅せんだらの術である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『淵鑑類函』一七に『宋書』に曰く、歳朔さいさく、常に葦莢いきょう桃梗とうこうを設け、鶏を宮および百司の門にたくし以て悪気をはらう。
また、死人のあるときには、四十九日目にユタを呼んで亡者の消息を語らしめ、犬や鶏の鳴き声のしきときにも、ユタを雇っておはらいをなさしむるなどは琉球の迷信である。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
はた、わが肉よりはらひ給ひしゐのこを見いづ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
それでさえ支那でも他のくにでも、それに病災をはらい除く力があると信じたり、あるいはまたこれを演繹して未来を知ることを得るとしたりしている。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこに書き洩らしたが加藤雀庵の『さえずり草』の虫の夢の巻に、千住の飛鳥あすかの社頭で毎年四月八日に疫癘えきれいはらう符というを出すに、桃の木で作れり、支那になろうたのだろうとある。
最初は当日極めて謹慎し斎戒してその夜を守りしなるべけれど、追々は徹夜大浮れに宴遊して邪気をはらうとしたらしく、甚だしきはその混雑中に崩れさせたまえる方さえもある。
古ギリシアの善性竜王ドラコンテス同様、土地の守護神ごときものに還原されしまったとは、わが邦諸社の祭礼に練り出す八岐大蛇やまたのおろちもと人間の兇敵と記憶されず、災疫をはらい除くと信ぜらるるに同じ。