神子みこ)” の例文
これらの歌は今から七八年前、伊豆下田港の沖合に在る神子みこ元島もとじまの燈臺に燈臺守をしてゐる舊友を訪ねて行つた時に詠んだものである。
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
ついでに言うがブンジは梵志ぼんしすなわち後の虚無僧こむそうのことで、梵志がもらっていた屋敷のことであろう。波多垣内がいち神子みこ垣内の類は中国辺に多い。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
神楽と云っても、神子みこが鈴を振り、笛に合せて、神前で舞を舞うばかりではない。これにもいろいろの芸当を取り入れて、滑稽な身振りをして人を笑わせる。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
此地は傀儡子の魃首かしら小林六太夫と私稱して其徒居住す。世俗此畝號あざなを用て南光部なんくわうぐみとよぶ。其婦妻のものは死靈のうらかたを業とす。是をたたき神子みこといふ。梓神子あづさみこのたぐひなりとぞ。
ここの社殿にいた内侍ないしたち(他社でいう神子みこの乙女のこと)だの徳大寺実定の口ウラにさえ、ころりとだまされて、わが子の栄職を譲らせてまで、実定に左大将の地位を与えている清盛である。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神子みこさんね、あれよく見たら、お多福湯のトネ子だったよ」
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
たいていは陰陽師または神子みこの徒か、しからずば職業上彼らと関係ある人形使いなどで、中には興福寺の唱門の如く普請の工事に出たり、夙やエタや悲田院の非人の如く
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
六ヶ月間の學期を無事に終へて、初めて任命されて勤めたのが、この神子みこ元島もとじま燈臺であつた。
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
このほか遊女屋も、湯屋も、風呂屋も、陰陽師おんみょうじも、神子みこもあります。
陰陽師や神子みこなどと並べて「山牛蒡」というのがある。