睨付ねめつ)” の例文
唯心ばかりはしゅうとも親とも思ッて善くつかえるが、気がかぬと言ッては睨付ねめつけられる事何時も何時も、その度ごとに親の難有ありがたサが身にみ骨にこたえて、袖に露を置くことは有りながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
遊佐はひそか切歯はがみをなしてその横顔を睨付ねめつけたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
睨付ねめつくれば、火事はどこだという顔色かおつき
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのお政の半面よこがおを文三はこわらしい顔をしてきっ睨付ねめつけ、何事をか言わんとしたが……気を取直して莞爾にっこり微笑したつもりでも顔へあらわれたところは苦笑い、震声ふるいごえとも附かず笑声わらいごえとも附かぬ声で
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)