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着替
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きがへ
「氣のきかねえ事を言ふな、何のために
質屋が
暖簾を掛けて置くんだ。俺の
着替をそつくり持つて行きや——」
「おやすみになるのに、お
着替がありますか。」といつて
聞くと
拂ふ心なしとは
云ものゝ
切ては此家の旅籠だけも後藤に聞せず拂ひたしと
猶種々に相談なせしに妻のお梅は是までにも
櫛簪などは追々に
賣盡し今は
着替一つ
有而已なれども此上は
其着替にても
賣代なし旅籠の代に
當んと申故市之丞も
詮方なく然らば我等の着替羽織とも未だ
之有により夫を