看方みかた)” の例文
だ異なるは前者の口舌の謇渋けんじゅうなるに反して後者は座談に長じ云々と、看方みかたに由れば多少鴎外をけなして私を揚げるような筆法をろうした。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その次には著者を説いて活動写真に撮って大いにもうけたい、儲けてそうしてこの天災非常時の穴埋めにしたいというそろばんから割り出したものと見ることも一つの看方みかたである。
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
著流きながしのじゃらじゃらと、吉原よしわら遊里の出入などということも、看方みかたによっては西洋的な分子の変型であるかも知れないから、文化史家がもし細かく本質に立入って調べるような場合に
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
看方みかたよってはこの遊戯気分が都会文芸の一要素となってるので、永井荷風ながいかふう小山内薫おさないかおるや夏目漱石の提撕ていせいを受けた三田派や人生派の芸術も著るしくこの戯作者的気分を持っている。
女の看方みかたについて根本の立場を異にする私には一々承服する事が出来なかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
渠らは空想にばかりとらわれて夢遊病的に行動する駄々ッ子のようなものだから、時々はきゅうえてやらんと取締りにならぬとまで、官憲の非違横暴を認めつつもとかくに官憲の肩を持つ看方みかたをした。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)