相国寺しょうこくじ)” の例文
旧字:相國寺
丸毛不心まるもふしん相国寺しょうこくじ門前に於いて、自分は年を取っていて腹の皮にしわが寄っているから、同じことなら首を討って貰いたいと云って、討たれて死んだ。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
道はすでに相国寺しょうこくじの大路端れに出ていて、半町ほど先には、ひろい川面かわもの水が銀鱗ぎんりんを立てて、水に近いやかた築地ついじにまでその明るい光をぎらぎら映していた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中には相国寺しょうこくじのあの桃源瑞仙ずいせんさまの、まだお若い姿も見えましたが、この方は程朱ていしゅの学問とやらの方では、一慶さま一のお弟子であったと伺っております。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
彼は相国寺しょうこくじから参内する仏国公使ロセスを見ることはかなわなかったが、南禅寺を出たオランダ代理公使ブロックと、その書記官の両人が黒羅紗くろらしゃ日覆ひおおいのかかった駕籠かごに乗って
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「学校騒動と財政困難で有名な同志社は直ぐこの向うで相国寺しょうこくじの隣りです」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
宗教と関聯かんれんして宗助は坐禅ざぜんという記憶を呼び起した。昔し京都にいた時分彼の級友に相国寺しょうこくじへ行って坐禅をするものがあった。当時彼はその迂濶うかつを笑っていた。「今の世に……」と思っていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その中には相国寺しょうこくじのあの桃源瑞仙ずいせんさまの、まだお若い姿も見えましたが、この方は程朱ていしゅの学問とやらの方では、一慶さま一のお弟子であつたと伺つてをります。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
「こないだ、相国寺しょうこくじ裏の町の衆が、どうせここは空家みたいなもンだから、庵主さんが帰るまで、ここに寝かしておくのがいいって、連れて来てしまったんです」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
京都にある三大寺院は公使らの旅館にあてるために準備された。三藩の兵隊はまた、それぞれの寺院に分かれて宿泊する公使らをまもることになった。尾州兵は智恩院ちおんいん。薩州兵は相国寺しょうこくじ
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)