相侵あいおか)” の例文
幾人いくにんの家族があってもたがい相侵あいおかさないで一家団欒だんらん和気靄々わきあいあいとするようにならなければ政治上の立憲制度も到底円滑に行われんよ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
この島には神山と称して、古来手をつけない樹林地が広く、しいかし類の老木が無数に繁茂して、年々の食物は保障せられ、人と鼠との社会は相侵あいおかす必要がなくて、久しく過ぎていたらしい。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ねがわくは、相侵あいおかすなく、両国の修交共栄の基礎がここに定まりますように
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしありも戦争をする。はちもする。がまもする。その外よく見ると獣も魚も虫も皆たがい相食あいはむ。草木の類も互に相侵あいおかす。これも悲しいことだ。何だか宇宙の力が自然にそうさすのではなかろうか。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一面に蜀呉相侵あいおかすことなき盟約下にあることが基幹をなしているのに、その呉が今、寝返りを打って、魏と連和するような事態でも起るとしたら、これは根本的に蜀の致命とならざるを得ない。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)