皺枯声しわがれごえ)” の例文
旧字:皺枯聲
半九郎は立ち上がって、自分ののどを掻きむしりながら皺枯声しわがれごえで叫ぶのです。狂暴な眼玉が、今にも脱け出しそうにギラギラと光ります。
と宗山が二階でわめいた。皺枯声しわがれごえが、風でぱっと耳に当ると、三四人立騒ぐ女の中から、すっと美しく姿を抜いて、格子を開けた門口かどぐちで、しっかりつかまる。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ましてや夕方近くなると、坂下の曲角まがりかど頬冠ほおかむりをしたおやじ露店ろてんを出して魚の骨とはらわたばかりを並べ、さアさアたいわたが安い、鯛の腸が安い、と皺枯声しわがれごえ怒鳴どなる。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ウフヽヽ寝こかしにもなににも極りを云って居らっしゃる、昨夜ゆうべちっとも寝やアしないじゃありませんか、あなたが皺枯声しわがれごえで一中節をうなって、衣洗きぬあらいから、童子対面までやった時には
「うわッ、しんだあ。」ときずおさえ、血眼ちまなこになりて、皺枯声しわがれごえを振絞り
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
団扇うちわの骨はいまだに仕上りませぬ。」と皺枯声しわがれごえ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)