白萩しらはぎ)” の例文
「さて誰袖の折檻せっかんも今日はこのくらいにして置いて、次の処刑しおきに移ろうかい。やいやい加藤次、白萩しらはぎめをもっと縁近く曳いて参れ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わずかに築山つきやまの蔭に貧弱な芙蓉ふようが咲いているのと、シュトルツ邸の境界寄りに、一叢ひとむら白萩しらはぎがしなだれている外には、今は格別人眼をくような色どりもない。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
桔梗ききょう紫苑しおんの紫はなおあざやかなのに、早くも盛りをすごした白萩しらはぎは泣き伏す女の乱れた髪のように四阿屋の敷瓦しきがわらの上に流るる如く倒れている。生き残った虫の鳴音なくねが露深いそのかげに糸よりも細く聞えます。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)