白糠しらぬか)” の例文
白糠しらぬかの宿に歸ると、秋の日が暮れて、ランプの蔭に妻兒が淋しく待つて居た。夕飯を食つて、八時過ぎの終列車で釧路に引返へす。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
釧路くしろ白糠しらぬか町にある庶路しょろ川から阿寒あかんに抜ける穴があると古くから伝えられ、オマンルパロ(あの世へ行く道の入口)ではないかと言われている。
斗満から十勝の中川郡本別村ほんべつむらの役場までの十余里はまだいいとして、釧路の白糠しらぬか村役場までは足寄を経て近道の山越えしても中途露宿して二十五里
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
其日上徳うえとく氏に泊し、夫れより釧路に出でたるも、支庁長不在なるを以て書状を置き、帰路白糠しらぬか軍馬補充部を一見して菅谷すげや氏に一泊し、温別にて海水に浴す。此際は汽車は浦幌うらほろ迄通ずるのみ。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
自分が旅中に見てきたのは、白糠しらぬか以北の砂山から、釧路くしろの港の後ろの岡などであった。今は開けてあのころの面影もないかしらぬが、寒地に行くほどたけが高くなるのではないかと思われた。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
北太平洋の波の音の淋しい釧路くしろ白糠しらぬか驛で下りて、宿の亭主を頼み村役場に往つて茶路ちやろに住むと云ふM氏の在否を調べて貰ふと、先には居たが、今は居ない、行方は一切分からぬと云ふ。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
北太平洋の波の音の淋しい釧路の白糠しらぬか駅で下りて、宿の亭主を頼み村役場に往って茶路ちゃろに住むと云うM氏の在否ざいひ調しらべてもらうと、先には居たが、今は居ない、行方ゆくえは一切分からぬと云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
『バチェラア氏語彙』には、Pake = the head(頭)サパ(頭)に同じとあるが、永田氏の『蝦夷えぞ語地名解』には釧路白糠しらぬか郡ペシパケ岬、ペシは崖、パケは端、平なる山側とある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
案外早く埓が明いたので、余は禮を云つて、直ぐ白糠しらぬかへ引かへした。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
案外早くらちいたので、余は礼を云って、直ぐ白糠しらぬかへ引かえした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)