白眼にらん)” の例文
富岡老人釣竿つりざお投出なげだしてぬッくと起上たちあがった。屹度きっと三人の方を白眼にらんで「大馬鹿者!」と大声に一喝いっかつした。この物凄ものすごい声が川面かわづらに鳴り響いた。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
うなだれるかわりに理想を白眼にらんで昂々然と鋪道を闊歩し、男も女も子供も犬も街上に書物を抱え、私有財産を認めない掏摸すりがその本を狙って尾行をつづけ、お寺の金色塔に赤旗がはためき
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
かしつかはしたるが着替きかゆる時に一寸ちよつと見し懷中ふところの金は七八百兩と白眼にらんだ大膳が眼力がんりきはよもたがふまじ明朝みやうてうまで休息きうそくさせ明日は道案内みちあんないに途中まで連出つれだしてわかぎはに只一刀だいまいの金は手をぬらさずと語る聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)