白光はっこう)” の例文
と、背すじへのぞんで、助広の白光はっこうを一りなぎつけたが、崖に等しい傾斜であり、灌木の小枝に邪魔されて、行き方少し軽かったか
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はその子の麦稈帽むぎわらぼうを軽くたたいた。かの小さな美しい城の白光はっこうはたしていつまでこのおさない童子どうしの記憶にあかるであろうか。そしてあの蒼空が、雲の輝きが。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ところがその人間の身のけくらいな天井から射す白光はっこうが、連夜続けて目に見ゆるのがかなわぬというので、或る朝起きると何だろうと、もう一人の友達に不思議を立てるようになった。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
さーッと、窓から白光はっこうが流れこんだ。ネオン灯もいつの間にか点いた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白光はっこうを噴いた双龍そうりゅうにも似る二人のあいだに、鏘々しょうしょうとして、火花が散った。しかし彼の長剣も、林冲の長巻も、幾十ごうとなくその秘術を尽しあったが、どっちも、相手の一髪すら斬ってはいない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白光はっこうの下に、その惨状さんじょう正視せいしし得る市民は、何人あることであろうか。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
背景は燦々さんさんたる白光はっこう
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
林の中は芒明すすきあかりといいたいくらい、ボウと白光はっこう花叢はなむらがほのかである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき真暗まっくらだった室内へ、急に煌々こうこうたる白光はっこうがさし込んだ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)