痩肉やせじし)” の例文
当年十六歳にしては、少し幼く見える、痩肉やせじしの小娘である。しかしこれはちとのおくする気色けしきもなしに、一部始終の陳述をした。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
せいはスラリとしているばかりで左而已さのみ高いという程でもないが、痩肉やせじしゆえ、半鐘なんとやらという人聞の悪い渾名あだなに縁が有りそうで、年数物ながら摺畳皺たたみじわの存じた霜降しもふり「スコッチ」の服を身にまとッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
當年十六歳にしては、少しをさなく見える、痩肉やせじしの小娘である。しかしこれはちとの臆する氣色もなしに、一部始終の陳述をした。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
この痩肉やせじしの、色の蒼白い喜助の樣子を見るに、いかにも神妙に、いかにもおとなしく、自分をば公儀の役人として敬つて、何事につけても逆はぬやうにしてゐる。
高瀬舟 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さて牢屋敷から棧橋さんばしまで連れて来る間、この痩肉やせじしの、色の青白い喜助の様子を見るに、いかにも神妙しんびょうに、いかにもおとなしく、自分をば公儀の役人として敬って
高瀬舟 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
イイダという姫はたけ高く痩肉やせじしにて、五人の若き貴婦人のうち、この君のみ髪黒し。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
イイダといふ姫はたけ高く痩肉やせじしにて、五人の若き貴婦人のうち、この君のみ髪黒し。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)