留守中るすちゅう)” の例文
下宿へ帰って来た俊助しゅんすけは、制服を和服に着換きかえると、まず青いかさをかけた卓上電燈の光の下で、留守中るすちゅうに届いていた郵便へ眼を通した。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その年うるう五月五日、咸臨丸かんりんまる無事ぶじ帰朝きちょうし、かん浦賀うらがたっするや、予が家の老僕ろうぼくむかいきたりし時、先生老僕ろうぼくに向い、吾輩わがはい留守中るすちゅう江戸において何か珍事ちんじはなきやと。
この様子では留守中るすちゅうも勝手にお茶を入れましょうを一人ひとり履行りこうしているかも知れない。亭主が云うには手前は書画骨董しょがこっとうがすきで、とうとうこんな商買を内々で始めるようになりました。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし何もこう云ったからと云って、彼がわたし留守中るすちゅうに故人になったと云う次第じゃありません。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)