もの)” の例文
「ハ、閣下、あれが先刻も談柄だんべいに上りましたる、社会党の篠田と申すもので御座りまする」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「戦場ゆえ、平馬めは、貸すのはイヤだという。おいっ、たれかほかに、於通に馬をかして、みずからは口輪をとって、犬山まで歩いてやるような、優雅みやびものはおらんか。たれでもよいぞ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そなたはこの絵すがたより美しいものと、どこぞでお逢いなされたか? 決してお逢いになったことはあるまい。絵すがたに写してさえ、命のない絹の上に画がかれてさえ、これ程の美くしさだ。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
対座の客は首肯うなづきつ「ハイ、山のものですが、只今は他郷に流浪るろう致し居りまするので」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)