田代たしろ)” の例文
「ええ、お出迎えにこれまでまいりましたのは、丹那たんな田代たしろ軽井沢かるいざわはた神益かみます浮橋うきばし長崎ながさき、七ヶ村の者十一名にござりまする」
丹那山の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
ちなみに、山へ登る人たちがよく出会う地名の田代たしろというのも、ほぼ同じような意味であって、田の候補地という意味である。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
魚沼郡の官駅くわんえき十日町の南七里ばかり妻在庄つまりのしやうの山中(此へんすべて上つまりといふ)に田代たしろといふ村あり。
賊軍の巨魁きょかい西郷隆盛は以前は陸軍大将にて天朝の御覚えめでたかりしものなること等より、田代たしろよりゆきし台兵が、籠城ろうじょう中に戦死せしこと、三奈木みなぎより募られたる百人夫長が
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
其のかみには大ジョー田代たしろといふ尾瀬平の兄弟分があると、老人が教へて呉れた。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
田代たしろ君はこう云いながら、一体の麻利耶観音マリヤかんのん卓子テーブルの上へ載せて見せた。
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「お気をおつけにならないと田代たしろ六さんのような目に会わされますよ」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
このついでに一言したいのは軽井沢と田代たしろという地名との関係である。この二地がしばしば相接してあることはよもや偶合ではあるまい。たとえば
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
魚沼郡の官駅くわんえき十日町の南七里ばかり妻在庄つまりのしやうの山中(此へんすべて上つまりといふ)に田代たしろといふ村あり。
田代たしろ先生が休みだぞ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
中世の文書に見えまた地名に多い田代たしろという語なども、やはり田を作る予定地のことらしい。菌類きんるいの毎年多く採れる場処も、中部の田舎いなかではもっぱらシロと謂っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
○ 田代たしろの七ツかま
始めて自分が日本の地名を問題にしたのは、この本の中にもある田代たしろ・軽井沢であった。田代がどこにってもかなりの山の中にばかりある理由が何かあるらしく思われたのが元であった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
○ 田代たしろの七ツかま