瓶子へいじ)” の例文
八五薄酒うすきさけ一杯ひとつぎすすめ奉らんとて、八六高坏たかつき平坏ひらつきの清らなるに、海の物山の物りならべて、八七瓶子へいじ土器かわらけささげて、まろや酌まゐる。
彼女は家にある土器かわらけなぞを三宝さんぽうに載せ、孫娘のお粂には瓶子へいじを運ばせて、挨拶あいさつかたがた奥座敷の方へ行った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
瓶子へいじとらせ御酒みきはたぶなり御さかづき持つ手ふるへて泣きをりわれは
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
山海の珍味をたくさん盛りならべて、少女のまろやが瓶子へいじをささげて、杯をささげて、酌をした。
瓶子へいじとらせ御酒みきはたぶなり御さかづき持つ手ふるへて泣きをりわれは
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
古式を重んずる欵待もてなしのありさまが、間もなくそこにひらけた。土器かわらけなぞを三宝の上に載せ、挨拶かたがたはいって来る髪の白いおばあさんの後ろからは、十六、七ばかりの孫娘が瓶子へいじを運んで来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
はやく酒殽さかなをつらねてすすめまゐらすれば、八四万作しやくまゐれとぞおほせらる。かしこまりて、美相びさう若士わかさぶらひ膝行ゐざりよりて八五瓶子へいじささぐ。かなたこなたにさかづきをめぐらしていと興ありげなり。