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猫撫
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ねこな
ふりがな文庫
“
猫撫
(
ねこな
)” の例文
猫撫
(
ねこな
)
で声で、静かに部屋へはいって行ったが、二たこと三ことなにか言っていると思ううちに、おやっという、
唯
(
ただ
)
ならぬ叫び声が聞こえてきた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
顔に偽クリスチャンのような「優しい」
媚笑
(
びしょう
)
を
湛
(
たた
)
え、首を三十度くらい左に曲げて、彼の小さい肩を軽く抱き、そうして
猫撫
(
ねこな
)
で声に似た甘ったるい声で
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
相手は
猫撫
(
ねこな
)
で声でそれも引受け、いつかおたまさんとも逢えるようにしてやろう、夫婦になる手助けもしようと神文誓紙を書かない許りに云って呉れたものさ
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
行儀が悪いだけでなく人相も風態も悪い男から、
猫撫
(
ねこな
)
で声をかけられて、細君は一層おろおろして
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
と、彼女は突然、甘ったれるような、そのくせ変に冷やかすような、
猫撫
(
ねこな
)
で声でそう云いました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
むかしはここは貧乏で、
猫撫
(
ねこな
)
で声のこの伯母は実家の祖父の家から、許可なく魚屋へ逃げるように嫁いだのだということだったが、このころは祖父の家より物持ちになっていた。
洋灯
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
のませてまで、振りきって逃げた女が、宅助様へ——と
猫撫
(
ねこな
)
で手紙をよこすというのは少し変だ。ははあ、この間から、弦之丞に会っていやがるんで、それでなんだな、何か計略を
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれの蝙蝠安は松助よりももっとおとなしい、始終
猫撫
(
ねこな
)
で
声
(
ごえ
)
で物をいうような
忌
(
いや
)
な奴であった。鶴蔵といい、伝五郎といい、こういう芸風の俳優は今はない。新蔵のことは後にあらためて書く。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
どうしてもそれは「待つ夜のロング」と言わねばならない。「
猫撫
(
ねこな
)
で声」というような文句ももはや眠たいとされるようになった。どうしてもそれは「キャット撫で声」と言わねば人を驚かさない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
女は返事なんぞしないで、困りきっていたあたしには
猫撫
(
ねこな
)
で声で
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
僕らが思わず顔を見合わせると、陳が
猫撫
(
ねこな
)
で声で言いました。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
猫撫
(
ねこな
)
でごえで
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
警察署長は見えすいた
猫撫
(
ねこな
)
で声をしながら、ギロリと鋭い目で部下に合図をした。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、彼女は急に甘ったれた
猫撫
(
ねこな
)
で声を出しながら
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けだものの様な
猫撫
(
ねこな
)
で声には、彼は人のいない襖の外で赤面した程、烈しい羞恥を感じたし、芙蓉の、昼間の彼女からはまるで想像も出来ない、乱暴な
赤裸々
(
せきらら
)
な言葉使いや、それでいて
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
猫
常用漢字
中学
部首:⽝
11画
撫
漢検準1級
部首:⼿
15画
“猫撫”で始まる語句
猫撫声
猫撫聲