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狎々
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なれなれ
ふりがな文庫
“
狎々
(
なれなれ
)” の例文
そして同宿の者のいない時なぞ、私の目にもおかしく思われるほど
狎々
(
なれなれ
)
しい。男の方にはそんな気もなかろうが、女はたしかに持ちかけているのだと私も思った。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
お蝶を見ると馬春堂はまた心のうちで、伊兵衛が今もって帰らぬのはどうしたものかと、少し
癪
(
しゃく
)
が
甦
(
よみがえ
)
ってきましたが、それはすぐ美しい娘の
狎々
(
なれなれ
)
しさに消されて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それよりも鶴さんの目にみえて
狎々
(
なれなれ
)
しくなった様子に、厭気のさして来ていることが
可悔
(
くやし
)
かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長い間の友達にでも云うような、男を男とも思っていないような夫人の声は、
媚羞
(
びしゅう
)
と
狎々
(
なれなれ
)
しさに充ちていた。しかも、その声は、何と云う美しい響と魅力とを持っていただろう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
好みません。あれはよい海員だとは信じます。が、乗組員と
狎々
(
なれなれ
)
し過ぎるので、よい高等船員とは申されません。副船長というものは交際を避けておるべきです、——平水夫と酒を
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
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百年の相識に別れた如く
何
(
なに
)
となく心
淋
(
さび
)
しかッたが……それも
日数
(
ひかず
)
を
経
(
ふ
)
る
随
(
まま
)
に忘れてしまッたのに、今また思い懸けなく一ッ家に
起臥
(
おきふし
)
して、折節は
狎々
(
なれなれ
)
しく物など言いかけられて見れば
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
部屋にはもう電燈がついて、その晩の
食物
(
たべもの
)
を
拵
(
こしら
)
えるために、お島は狭い台所にがしゃがしゃ働いていた。印判屋の婆さんとも、
狎々
(
なれなれ
)
しい口を利くような
間
(
なか
)
になっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少年マドロスは、
狎々
(
なれなれ
)
しい眼で、理平の襟元から車内をジロジロと見廻した。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お島はそう言って小野田にも話したが、そこにお島の身のうえについて、何か色っぽい
挿話
(
そうわ
)
がありそうに、感の鈍い小野田にも想像されるほど、彼等はお島と
狎々
(
なれなれ
)
しい口の
利
(
き
)
き方をしていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
狎
漢検1級
部首:⽝
8画
々
3画
“狎”で始まる語句
狎
狎合
狎妓
狎戯
狎処
狎友
狎客
狎恩
狎愛
狎戲