“物外”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぶつがい66.7%
もつがい33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
泰西たいせいの画家に至っては、多く眼を具象ぐしょう世界にせて、神往しんおう気韻きいんに傾倒せぬ者が大多数を占めているから、この種の筆墨に物外ぶつがい神韻しんいんを伝え得るものははたして幾人あるか知らぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世の中を冷笑しているのか、世の中へまじりたいのだか、くだらぬ事に肝癪かんしゃくを起しているのか、物外ぶつがい超然ちょうぜんとしているのだかさっぱり見当けんとうが付かぬ。猫などはそこへ行くと単純なものだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「お尋ねをこうむるほどの者には候わず、愚僧は備後びんご尾道おのみち物外もつがいと申す雲水の身にて候」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その頃、知られた大力の坊主に物外もつがい和尚というのがありました。この和尚は拳骨の名人であります。拳を固めて物を打てば、その物がみなへこむから、一名を拳骨和尚とつけられました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)