カレ)” の例文
カレ、天宇受売命海鼠に謂ひけるは「この口や、答へせぬ口」と言ひて、ひもがたなもちて、其口をきゝ。カレ今に海鼠の口拆けたり。
カレ即ち其海辺の波限ナギサに、鵜の羽を葺草カヤにして産殿ウブヤを造りき。是に其産殿未だふき合えぬに、御腹堪え難くなり給いければ、産殿に入りましき。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
カレ亦た其御祖命、哭きつつげば、見得て、即ち其木を拆きて、取出で活して、其ミコに詔給わく、汝此処にあらば、遂に八十神に滅さえなんと詔給いて
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
古事記の「カレ高天原皆暗く、葦原中つ国スデに闇し。此に因りて常夜往く……」とあるとこよゆくもはなはだ固定した物言ひで、或は古事記筆録当時既に、一種の死語として神聖感を持たれた為に
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
カレ其大神出で見て、こは葦原色許男という神ぞと詔給いて、やがて喚び入れて、其蛇の室屋ムロヤに寝しめ給いき。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)