)” の例文
彼は机の前に腰をかけて、懐中ポケットからパイプを取り出し机上にあったマリーランド煙草の箱の封を切ってそれを詰めてかしながら、何やら手紙を書き初めた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
爺さんは、むっつりと、苦虫を噛みつぶしたような面構えで、炉傍ろばたに煙草をかしていた。弟の庄吾は、婆さんの手伝いで、尻端折しりはしょりになって雑巾ぞうきんけだった。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
キチンと四角に坐ったまま少しもひざをくずさないで、少し反身そりみ煙草たばこかしながらニヤリニヤリして、余り口数くちかずかずにジロジロ部屋へや周囲まわりを見廻していた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
口にしている始末なんで。何しろ、私あ、十五六の時からかして来たんですから。
喫煙癖 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
爺さんは煙草をかしながら、非常に機嫌がよかった。菊枝は下をうつむいて、足指で、板の間に何か書いていた。春吉は、菊枝の立っている方へ眼をやりながら、微かに口元を痙攣けいれんさせた。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)