濶達くわつたつ)” の例文
その頃ようやく四十になつたばかり、家代々の與力ですが、當代の新三郎はわけても濶達くわつたつで聰明で、錢形平次とはよくウマが合つたのです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
跡に殘るは天地の間に生れ出でしまゝの我身瀧口時頼、いのちとともに受繼うけつぎし濶達くわつたつ氣風きふう再び欄漫らんまんと咲き出でて、かたちこそ變れ、性質こゝろは戀せぬ前の瀧口に少しもたがはず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
呼に此方の後藤は先刻せんこくより表に立て懸合かけあひの樣子を聞居きゝゐたりしが元より氣象きしやう濶達くわつたつの人故ぢり/\氣をいらち今に見よとうでさすつてまつ處に八五郎が呼込や否や油屋の見世へをどあがりたり其體そのてい赤銅造しやくどうづくりの強刀がうたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)