“濁(ど)” の例文
「しいッ……しい」と呶鳴る馬方の濁(ど)す声(ごえ)が、はるか谷の下の加茂部(かもべ)へ行く道の辺でひびいた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう濁(ど)す声で言って半五郎は、アアお父っさんかと澄ましている般若(はんにゃ)の顔を睨(ね)めつけて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻(めいめい)が各〻の臆測(おくそく)やら前後の対策に、大なり小なり必死に考えこんで、沼のように濁(ど)す黒く沈澱(ちんでん)しているここの空気とひきかえて、御用部屋の方では、内蔵助を中心に、算盤(そろばん)の音だの
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
濁(ど)す声で、朱鞘が呼びとめた。同時に、駕籠の前へ迫ったのである。駕籠屋は、驚いて逃げてしまった。にも拘(かか)わらず、抛り出された駕籠のうちには、心地よげな鼾(いびき)の声がするのだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、久米之丞はいよいよ月江の嫌いな濁(ど)す声で
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)