滅切めっき)” の例文
年を取ると滅切めっきり気が弱くなって、若い時にひどい眼に逢わせた奴が、つづみを鳴らして仕返しに来そうで、どうも、夜もオチオチ眠られない
ところが、私が如何どうにか斯うにか取続とりつづいて帰らなかったので、両親は独息子ひとりむすこたまなしにしたように歎いて、父の白髪しらがも其時分僅のあいだ滅切めっきえたと云う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
重兵衛 (笑う。)山の中という程でもないが、それでも夜になると、里よりは滅切めっきり冷えて来るようですよ。あなたは夜道をかけて、今頃どうしてこんな所へおでなすったのだね。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
実は小生去冬きょとう風労ふうろうに悩みそれより滅切めっきり年を
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その頃はうぐいすふくろうも鳴いた根岸、日が暮れると滅切めっきり淋しくなるのですが、尼法師はさまで急ぐ風もなく、木立から藪へ、藪から田圃たんぼへと、暗くなりかけた道を辿って
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)