淮河わいが)” の例文
袁紹あざな本初ほんしょといい、汝南じょなん汝陽じょよう(河南省・淮河わいが上流の北岸)の名門で門下に多数の吏事武将を輩出し、彼も現在は漢室の司隷校尉の職にあった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楚は揚子江両岸にまたがった南方の国で、孔子の活動した中心からはだいぶ遠い。孔子が淮河わいが流域の蔡に行き、また楚の大夫葉公しょうこうと問答した話は『論語』にある。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
だが東海の海近い姑蘇こそから出発して揚子江を渡り、淮河わいがの胴に取りついてその岸をさかのぼり、周の洛邑へ運ぶ数十日間その珍魚を生のままで保つことは、殆ど至難な事だった。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
曹丕そうひは船にって、重病人のように船房の中に臥していた。それを文聘ぶんぺいが背に負って、小舟に飛び移り、辛くも淮河わいがのふところをなしている一商港に上陸あがった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「息もつくな。すぐ船、いかだをととのえて、淮河わいがをわたり、袁術を追って、最後のとどめを与えるのだ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壮図そうとむなしく曹丕そうひが引き揚げてから数日の後、淮河わいが一帯をながめると縹渺ひょうびょうとして見渡すかぎりのものは、焼け野原となった両岸の芦萱あしかやと、燃え沈んだ巨船や小艇の残骸と
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして曹丕の旗艦以下、魏の全艦隊が、いまや淮河わいが隘路あいろから長江へと出てくる気配を見たので、一夜に沿岸全部の偽装をかなぐり捨て、敢然、決戦態勢を示したものである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うねうねとそこを流れている一水は淮河わいがの流れである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)