涙金なみだきん)” の例文
種々しゆ/″\と取扱ひ漸々やう/\涙金なみだきんとして金五兩つかは勘當かんだうとこそなりにけれ是に因て袋井の者三人はお芳を引立ひきたてつれ歸る然ば九郎兵衞は仕損しそんぜしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
涙金なみだきんさえ出さねえのは民主主義じゃねえや、と、彼等は彼等の住んで居た世界とは正反対の向う側にある流行語を持ち出して、不平を言い合ったが
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
恐らく勘当されるについては若干の涙金なみだきんを貰ったであろうが、当人は結局それをよいことにして、先のことも考えず、あるに任せて浪費しているのではなかろうか。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自分はいさぎよく涙金なみだきんを断った。断った表向は律義りちぎにも見える。自分もそう考えるが、よくよく詮索せんさくすると、慾の天秤てんびんけた、利害の判断から出ている事はたしかである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こんなことをして涙金なみだきんをせしめようという、さもしい根性だよ