海藻かいさう)” の例文
そのうち、かうばしいやうな、とほくで……海藻かいさうをあぶるやうなにほひつたはる。にほひ可厭いやではないが、すこしうつたうしい。出窓でまどけた。おゝ、る/\、さかんしろい。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さし上げた腕の間から皆めいめいに上向うはむきの頭がみえる。海藻かいさう地衣こけがこの浮標うき垂下たれさがつてゐる。東から吹く風に、この髮の毛がふくらんで、おのづと拍子をとつて波動してゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
海の底は薄暗くて、ちやうど、陸で木や草が茂つてゐるやうに、海藻かいさうが一ぱいに生えてゐるところもあれば、又砂原のやうなところもあり、山のがけみたやうなところもありました。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
濡髮長き海藻かいさうや、珊瑚、海膽うにこけまでも
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
海藻かいさうの効用をのべなさい。
伊東から (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
のびちぢむ海藻かいさう——
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
頭の上がにはかに暗くなつたので、びつくりして顔をあげると、沢山の小魚が、まるで黒い雲のやうにみつしりと群をなして、大急ぎで頭の上を通過し、珊瑚礁さんごせうや、海藻かいさうやぶにあわてゝ隠れました。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)