マイル)” の例文
のみならず、彼の神経といえば、それこそ五マイル先の落ちかいさえも見遁みのがさぬという、潜望鏡のそれよりも鋭敏ではないか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
地中海にはひつて初めて逆風に遇い、浪の為に一時間五マイルの速力を損失する日が二日ふつか程つづいた。ともの方の友人は大抵僕の室へ来て船暈せんうんを逃れて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一昼夜に三百十五六マイルはしる快い速力で、岸本を乗せた船はドバアの海峡を通り越して行った。航海の五日目には、英吉利沿岸の白く光るがけも遠く後方うしろになった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
秘密の試運転だったから外国の武官は一人もいないし、近海三十マイル以内には、漁舟さえ見えなかった。
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
渺茫べうばうたる海面にふかが列を為してあらはれたかと思つたのは三マイル先の埠頭から二挺を一人で前向まへむきに押して漕ぐ馬来マレイ人の小舟サンパンの縦列で、彼等は見るうちにわが船を取囲んで仕舞しまつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その海上から喜望峯まで五千四百マイル以上もあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)