洒落本しゃれぼん)” の例文
金平本きんぴらぼん、黄表紙、洒落本しゃれぼん、草双紙、合巻物ごうかんもの読本よみほんといった種類のものをこみで一手に集めて来たものらしいから、白雲は
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
盛んに論難してベリンスキーを揮廻ふりまわしたものだが、私は日本の小説こそ京伝の洒落本しゃれぼんや黄表紙、八文字屋ものの二ツ三ツぐらい読んでいたけれど
またその半面には、名だかい西鶴の浮世草紙に続いて、いろいろな読み本や、洒落本しゃれぼんなどととなえるものがたくさんに出はじめた頃でもあったのでした。
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
寛政のむかし山東庵京伝さんとうあんきょうでん洒落本しゃれぼんをかきて手鎖てぐさりはめられしは、板元はんもと蔦屋重三郎つたやじゅうざぶろうふれにかまはず利を得んとて京伝にすすめて筆を執らしめしがためなりといひ伝ふ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もっとも馬琴も至って年の若かった頃は、直接に実社会の人物を描いて居りまして、いわゆる「洒落本しゃれぼん」という、小説にもならぬ位の程度のものを作って居ります。
ジスレリの『文界奇観キュリオシチイス・オヴ・リテラチュール』九版三巻に、欧州で出した『聖書』の翻訳麁鄙そひで、まるで洒落本しゃれぼんを読むごとくしからぬ例を多く出しいるが、たとい原文にそうあったとても典雅荘厳が肝心で
喜撰きせん風呂のざくろ口には、もう湯気の中に洒落本しゃれぼんのだじゃれをまる呑みにしているような、きざでつうがりで、ケチで、色男ぶった糸びん頭の怠け者が、ふさ楊子ようじをくわえて真っ赤にゆだりながら
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのころ江戸で流行の洒落本しゃれぼんを出版することにした。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
現に源内自らも後年になってたくさんの滑稽本こっけいぼん洒落本しゃれぼんを著しているのですが、それでいて他面にはいろいろな学問の道にも進もうとしたのですから
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
寛政かんせい改元の年蜀山人四十に達しその父を失ふ。この年あたかも楽翁公の天下に令して奢侈しゃしの風を戒め洒落本しゃれぼんの作者を懲罰するあり。この前年蜀山人既に狂歌の事よりして小普請入こぶしんいりを命ぜらる。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
本草ほんぞうに関するものがたくさんにある外に、農作物、物産に関するものもあり、火浣布かかんぷ、陶器、寒熱昇降器などの説明もあり、また他面には多くの滑稽本こっけいぼん洒落本しゃれぼん、及び浄瑠璃の作品があるので
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)