にや)” の例文
手を出しかねたる二人を睨廻ねめまはして、蒲田はなかなか下に貫一のもだゆるにも劣らず、ひとごうにやして、効無かひな地鞴ぢただらを踏みてぞゐたる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
男の教師さへここから出たためしはないに、女親に女の子、飛んだ望みの飛汁いばじるは、こちとらの身にもかかりて、例の差配の薬鑵が、家税の滞りに業をにやした挙句は、いつもあの後家殿を見習ひなさい
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
恥かしいが肝癪かんしゃくも起しごうにやし汝の頭を打砕ぶっかいてやりたいほどにまでも思うたが、しかし幸福しあわせに源太の頭が悪玉にばかりは乗っ取られず、清吉めが家へ来て酔った揚句に云いちらした無茶苦茶を
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
過日の夜は実は我も余り汝を解らぬ奴と一途に思つて腹も立つた、恥しいが肝癪も起し業もにやし汝の頭を打砕ぶつかいて遣りたいほどにまでも思ふたが、然し幸福しあはせに源太の頭が悪玉にばかりは乗取られず
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)