江州がうしう)” の例文
この両三年来の私の生活は自らむちうつ生活であつた。自分で自分を責めた挙句、私は自殺の心をさへ起した——或時は江州がうしうの片田舎で、或時は京都の旅舎で、また或時は九州の旅のはてで。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
江州がうしう井伊家ゐいけはんにて山田藤馬とうまと申者のせがれに候處幼少えうせうころ兩親に別れ我まゝに身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その春挙氏も、この頃ではすつかりそんな遊びをして一週に一度京都絵画専門学校へ出て来る外は、おとなしく江州がうしう膳所ぜぜの別荘に引籠つて、石集めといふもの好きな道楽に憂身うきみやつしてゐる。
膳所ぜぜ、瀬田、石山あたりは當時の青年時代のなつかしい記憶のあるところであり、好きな自然としては今でもあの江州がうしうの地方をその一つに思ひ出すくらゐであるが、それから三十年あまりこのかた
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
江州がうしう膳所ぜぜの別荘に籠つてゐる山元春挙氏が、石集めに余念もない事は、こなひだ書いた通りだ。その春挙氏がつい先き頃鳥打帽をかぶつて散歩に出た。そして石山をさしてすたすたと歩いて往つた。
四國の丸龜までもどる者なりと答るに彼男私しは江州がうしうにて候が江戸表へあきなひに參り只今歸り道也是からまた尾州びしう名古屋へいたり夫より京大坂へ仕入しいれに登り候つもりに付幸ひ御供同樣に御召連下おめしつれくださるべし一人の道中と云者いふものは道にあきるものゆゑ御咄相手おはなしあひてに御同道仕つり度と然も馴々なれ/\しく申すにぞ後藤は否々いな/\某はまた道連みちづれの有は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)