水粒すいりゅう)” の例文
そのこまかい水粒すいりゅう夕陽ゆうひ錯交さっこうは、口上こうじょうどおり七、八しゃくのみじかいにじをいくつも空へのこして、独楽こまはトーンと蛾次郎がじろうの足もとへ落ちてすんでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武庫川むこがわの辺まで来ると、春の小糠雨こぬかあめは急に山からと海からとの風に掻きまわされて、痛いような水粒すいりゅうが笠の下へも吹きつけてくる。——師直の馬はしばしば物驚きをしてあと退去ずさった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに今朝から陰険いんけんそうをあらわしていた空は、この時になって、いっそうわるい気流となり、雷鳴らいめいとともに密雲のそうはだんだんとあつくなって、呼吸いきづまるような水粒すいりゅう疾風しっぷうが、たえず
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんともいえないしめッぽい水粒すいりゅうがもうもうと立ってきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)