水無瀬みなせ)” の例文
水無瀬みなせの離宮の風流の御遊びがいと盛んであった際には、古来の歌道のかきもとに対立して、新たにくりもとというたわれ歌の一団が生まれた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その間にも頻々ひんぴんと仙洞や水無瀬みなせの離宮などで歌合が行われるようになって、歌人たちがはじめて世にるの思いをしたことは、既に知っておられる通りである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
もう是れまで来れば宜いと思うと益々雪の降る気候に向って、く事も出来ませんから、人知れず千島村ちしまむらという処へ参って、水無瀬みなせの神社の片傍かたほとり隠家かくれがに身を潜め
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いやまぎれない菊水の旗幟しるしがすぐわかった。で、正季たちは、ふもとの西国街道で駒をおりて待っていた。——近くにある築土ついじは、水無瀬みなせノ宮のあとらしく「伊勢物語」に
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三時間で行ってこられる恰好かっこうな散策地でわれもひともちょっと考えつかないようなわすれられた場所はないものかとしあんしたすえにいつからかいちど水無瀬みなせの宮へ行ってみようと思いながらついおりがなくてすごしていたことにこころづいた。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
山崎のふもとである。水無瀬みなせみやあとがあり、古い宿駅しゅくばの一つがあった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摂家せっけ、三条、水無瀬みなせの二卿。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)