気魂きこん)” の例文
旧字:氣魂
故に、一兵一兵をてゆく眼ざしにも、悽愴せいそうの気に近い光があったにちがいない。総帥そうすいたる人のその気魂きこんは当然また全軍の兵気にうつらずにいない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孤独を訴える坤竜丸の気魂きこんであろうか。栄三郎のうしろ姿には一まつのさびしさが蚊ばしらのように立ち迷って見えた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
長官の梁中書りょうちゅうしょは、それを一読するや、顔の色を失ってしまった。気魂きこん、おののきふるえて、天外そらに飛ぶのていだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は州城内の一霧谷観むこくかんがくのある堂の真ン前にたたずんで、虚空こくうを仰いでいたのであり、師から授かった“五雷天罡ごらいてんこう”の秘咒ひじゅ気魂きこんらしていたのだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)