殿原とのばら)” の例文
右兵衞佐うひやうゑのすけ(頼朝)が旗揚はたあげに、草木と共に靡きし關八州くわんはつしう、心ある者は今更とも思はぬに、大場おほばの三郎が早馬はやうまききて、夢かと驚きし平家の殿原とのばらこそ不覺ふかくなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ごろむつまじくかたり給ふ二二殿原とのばらまうで給ひてはうむりの事をもはかり給ひぬれど、只師が心頭むねの暖かなるを見て、ひつぎにもをさめでかく守り侍りしに、今や蘇生よみがへり給ふにつきて
「無論さ。」と、忠一は首肯うなずいて、「五個の庄の住民はいずれも平家に由縁ゆかりの者で、彼等は久しく都の空気を呼吸していた。平家の公達きんだち殿原とのばらその当時における最高等の文明人種であったのだ。 ...
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)