正夢まさゆめ)” の例文
こないだ面白い夢を見た、まあ、聞いておくれ、あんた、と先夜見た夢の話をし、あれは正夢まさゆめに違わん、わしの考えて居ると同じことを天野さんが云って居った
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「ああに、夢なら夢でも正夢まさゆめでごぜえますだよ。旦那の身体がお前さま、置場の梁にぶら下って。」
夢は正夢まさゆめでした。すると、もしかしたら、あのわなも何かの役にたつのではありますまいか。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
だが、一時間半も待つあいだにかすかな啼きごえもれて来ないのは、何だか変だ、ひょっとしたら、この間からたびたび見た夢が正夢まさゆめで、もうこの家にいないのではないか。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もしやこれが正夢まさゆめで、せがれの身の上に何か変事でもあったのじゃあ無いかと、おっかさんも頻りに案じていると、ゆうべも同じ夢をみて、せがれの顔はやっぱり血だらけ……。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すると或る晩に、その墓は五輪の塔で、こういう木の下にうずまっていると夢に見たので、その翌日檀那寺だんなでらへ行って、夢に見た通りがすとはたして見付めっかった。これも友人が最近に見た正夢まさゆめである。
取り交ぜて (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
正夢まさゆめ、これも、日頃のお不動信心のおかげでございましょうか。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)