檀紙だんし)” の例文
もう古くて厚ぼったくなった檀紙だんし薫香くんこうのにおいだけはよくつけてあった。ともかくも手紙のていはなしているのである。歌もある。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そこで実隆は檀紙だんし十帖、布一段を謝礼として種玉庵に遣わしたけれども、宗祇はかたく辞してこれを返送したとのことである。
なおまた、八の吉字にちなんで、米八石、絹八匹、檀紙だんし八束、薬八袋、白布八反、うるしおけ綿わたこり、砂金八両。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これもいつだとて和紙の美しさを語ってくれるものの一つであります。烏山近くに向田むかだという部落があって、ここで出来る檀紙だんしに野趣のあるのを見かけました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そして彼女は大きく切った檀紙だんし沢野忠庵さわのちゅうあんとしたためた名札を渡しながら裕佐の顔色をうかがった。
まじめな顔をして言うと、かわいそうでならないように同情して、そばへ寄ってすずりの水入れの水を檀紙だんしにしませて、若紫が鼻の紅を拭く。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あなたが尼におなりになったということもまた悲しく承っているというようなことを檀紙だんし五、六枚に一字ずつ鳥の足跡のように書きつけてあって
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
玉鬘は憎悪ぞうおも感じながら、返事をしないことも人に怪しませることであるからと思って、分の厚い檀紙だんしに、ただ短く
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
古歌などもよい作をって、端書きも作者の名も書き抜いて置いて見るのがおもしろいのであるが、この人は古紙屋紙ふるかんやがみとか、檀紙だんしとかの湿り気を含んで厚くなった物などへ
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
末摘花女王すえつむはなにょおうの手紙は香のかおりのする檀紙だんしの、少し年数物になって厚くふくれたのへ
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)